古時計が夜の十一時を打った。窗の外の雪をぼんやりと見つめていた瞳子(とうこ)はふと我に返り、天井の照明を消した。室(へや)は机の上の洋燈(ランプ)の紅い傘(シェード)越しの薔薇いろの光が照らすばかりとなった。 瞳子は革張りの椅子に坐り直し、…
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